• テキストサイズ

イチイ

第9章 第8章 遊園地


「ぶつかって、ごめんなさい」
 
 のろりと頭を下げられて慌てた。ど
ちらかと言うとぶつかったのはこちら
なのだ。
 
「こっちこそ悪かった」
 
 謝りながら、昴は眼の前の相手の容
姿を眺めた。
 
 赤いメッシュのはいった灰色の長め
の髪。写りの悪い水面のように濁った
青色の瞳。
 
 感じる印象は、『死人』のよう。
 
 生気というのが感じられない。どこ
か病んだ雰囲気だ。
 
「……あんた、ゲリエ学園の生徒?」
 
「なんでわかったんだ?」
 
 昴は今、制服を着ていない。
 
 眼の前の相手とは今日初めて会う。
 
「資料でちらっと見たから。───媒
体でしょ?」
 
「!」
 
 驚いて持っていた箱を落としそうに
なった。
 
 眼の前の相手はどこか病んだ笑みを
浮かべる。
 
「おれは社咲翼。名前くらいは理事長
から聞いてると思うけど」
 
「……! おまえが社咲翼……?」
 
「うん。はじめまして」
 
 昴は無遠慮なくらい翼を上から下ま
で見た。
 
「なんでここに?」
/ 180ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp