第9章 第8章 遊園地
「ぶつかって、ごめんなさい」
のろりと頭を下げられて慌てた。ど
ちらかと言うとぶつかったのはこちら
なのだ。
「こっちこそ悪かった」
謝りながら、昴は眼の前の相手の容
姿を眺めた。
赤いメッシュのはいった灰色の長め
の髪。写りの悪い水面のように濁った
青色の瞳。
感じる印象は、『死人』のよう。
生気というのが感じられない。どこ
か病んだ雰囲気だ。
「……あんた、ゲリエ学園の生徒?」
「なんでわかったんだ?」
昴は今、制服を着ていない。
眼の前の相手とは今日初めて会う。
「資料でちらっと見たから。───媒
体でしょ?」
「!」
驚いて持っていた箱を落としそうに
なった。
眼の前の相手はどこか病んだ笑みを
浮かべる。
「おれは社咲翼。名前くらいは理事長
から聞いてると思うけど」
「……! おまえが社咲翼……?」
「うん。はじめまして」
昴は無遠慮なくらい翼を上から下ま
で見た。
「なんでここに?」