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イチイ

第9章 第8章 遊園地


 桃花はなんとも言えない顔になると、
昴のところへ歩み寄る。
 
「大丈夫?」
 
「地球が回ってた……」
 
「地球はもともと回ってるけど……。
そっちも災難だったね」
 
 昴は桃花を見上げて、ちらっと夕を
見て、最後にリーシアを見た。
 
「これなら桃花とペアのほうがいちば
んよかったな……」
 
「私も。酷いんだよ、夕。もっと回し
たら楽しいとか言ってさ。
 そりゃ、ぐるぐる回るのは楽しかっ
たけど、あんなに回ったら楽しい通り
越して気持ち悪いだよ!」
 
 妙に力説する桃花に昴は微苦笑を浮
かべる。
 
「……おまえと話してたら吐き気も止
んだ。───次はどれにするんだ?」
 
「そうだなあ……」
 
 桃花が端末地図を見ながら考えてい
るとリーシアが顔を覗かせた。
 
「お化け屋敷とかどうかな? ここの
お化け屋敷はとても造りが精密で、人
間の心理というものをよく弁えている
と評判なんだ」
 
「お化け屋敷ですか? 私はいいです
よ」
 
「こわくないのか? 結構こわがりだ
と思ってた」
 
 雰囲気が『守ってあげたくなるよう
な女子』なだけに昴は桃花は恐がりと
勘違いしていたようだ。
 
 なわけないじゃんと笑って否定した。
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