第9章 第8章 遊園地
もう景色を楽しむ余裕はなく、ひた
すらに機械が止まることを祈った。
数分後にコーヒーカップは徐々に速
度を緩め、やがて停止した。
ぐったりしてる桃花の肩を夕が軽く
揺する。
「大丈夫か?」
「そう見える?」
忌々しげな顔で夕を見上げると、慎
重にコーヒーカップから降りた。
視界はまだ回っているし、吐き気は
収まらない。
よろよろと芝生のほうに行くと蹲っ
た。
「吐きそう……。夕のばか……! 鬼、
阿呆!」
「悪かったって」
夕は桃花の背中を優しくさすって介
抱する。
空気を吸って桃花は大きく深呼吸を
した。
夕の介抱もあって楽になる。
「なんとか吐き気収まった……。まっ
たく夕のばか。───あれ?」
立ち上がった桃花は少し離れた隣で
昴が蹲って名もない草に吐いているの
を見た。
隣にはリーシアがけらけらと笑って
いる。
「……昴くんも、災難」
「あの理事長と組んだらああなること
は必須だぜ。おれたちのほうとは比べ
物にならない回転速度だったはずだ」