第9章 第8章 遊園地
「そりゃあ、ハンドル回したら回るだ
ろ。……というか、ゆっくりすぎない
か? もうちょい早く回そうぜ」
向かいに座った夕がハンドルを掴む
と、力強く回した。
コーヒーカップは先ほどより速く回
転する。
「わっはやい! すごい回る! すご
いよ! ぐるぐるしてる!」
子どものようにはしゃぐ桃花に夕は
微笑すると、
「もっと回したら、もっと楽しくなる
ぜ」
「本当!? よおし!」
桃花はハンドルを握る両手に力をい
れると、思い切り回した。
今までとは比べ物にならない回転速
度に桃花は一瞬言葉を失った。
高速で回転する視界とだんだんと込
み上げてくる吐き気。
「……ふ……わああ!? 待って待っ
てはやっ速すぎ! 眼が!」
コーヒーカップの淵にしがみついて
泣き叫ぶ桃花と対照的に夕は腹を抱え
て笑っている。
「───もっと回すか?」
「 やめてー!」
頭が外れるくらいの勢いで首を振っ
た桃花はさらに顔を青ざめた。
「き、気持ち悪いの増してきた……。
な、なんでだろ……」
この回転速度の中あれだけ首を振れ
ば吐き気も増して当然なのだが、今の
桃花にはわからなかった。