第2章 第1章 戦闘員出動
桃花は羨ましそうに呟くと、手を離
した。
行きと同じように夕が空間移動の魔
法を使い、一瞬で玄関前に着く。
「…………」
「夕くん、零がどうせなら0番室まで
移動しろよ、ボケ。使えねぇなって思
ってるよ?」
「だったら、おまえが今度から空間移
動の魔法使えよ」
「…………」
「めんどくせぇからやだって」
夕は大袈裟にため息をつく。男子生
徒がぽかんとして紫乃を見た。
「んあ? どうしたのぉ?」
「あ、いや……。その子全然喋んない
のに思ってることわかるんだなって」
男子生徒は表情も死んでるのにと続
けようとして、言葉を止める。
一番後ろを歩きながら紫乃は零の背
中を見た。
「まぁ、よく一緒に闘ってるし。部隊
でも一番つき合い長いし」
「そうなのか」
「うん。まぁ、全部わかるわけじゃな
いけどね」
「アレ使えないのか? ほら、他人の
心読む能力……」
「精神感応のことかな。使ったら怒るよ。
僕はまだいいけど、他の人がやった
ら半殺しだよ」
紫乃は声を潜めて苦笑いする。