第9章 第8章 遊園地
「……やっぱり、思い出してないんじ
ゃない……かなって……」
煮え切らない物言いだった。
「僕はきみみたいに───きみたちみ
たいに『神様』じゃない。だから、深
く首は突っ込めない。
でも……今のままじゃ、桃花ちゃん
が今のまま自分をただの魔力持ちと思
い込んでる今のままだとだめなのは、
わかってる」
紫乃は項垂れた。無意識に零の手を
握る手に力をいれていた。
「でも、僕は何もできない……」
情けなかった。涙が出そうだった。
沈鬱な表情で黙ってしまった紫乃の
肩を零は軽く叩いた。
まるで落ち込む友人を慰めるような
その仕草に柴乃は苦笑に近い笑みを浮か
べた。
「できなくない。だから泣くな」
そう言って、優しい手つきで零は紫
乃の頭を優しく撫でた。
一瞬眼を丸くした紫乃がふにゃりと
笑う。
「やっぱり零は、優しいね」
その言葉に零は酷く懐疑的な眼を向
けたが、紫乃は笑うだけだった。
夕とペアでコーヒーカップに乗った
桃花は真ん中にあるハンドルの主導権
をさっそく握った。
時計回りに動かすと、コーヒーカッ
プが回る。
「すごい! ほんとに回った!」