第9章 第8章 遊園地
「それは、ごめんなさい。───とこ
ろで、私、これ乗りたいな」
桃花は端末を全員に見えるようにし
た。
拡大された地図で、一部分だけが赤
く光っている。
表示された乗り物名は『コーヒーカ
ップ』だ。
「これなら回るだけだから、ゆったり
してるでしょ?」
桃花は遊園地に行ったことはなくと
も、テレビでは遊園地題材にしたドラ
マなどを見たことがある。
恋人と笑いながら、ゆっくりと回転
させているのを見て、『コーヒーカッ
プはゆっくり回るものなんだ』と認識
している。
「俺はいいぞ。んじゃ、誰と誰で乗る
んだ?」
「じゃんけんで決めればいいだろ。ち
なみにチョキはなしで」
桃花たちはかけ声に合わせて手を出
す。
結果は夕と桃花。リーシアと昴とな
った。
その頃、紫乃と零はジェットコース
ターの列に並んでいた。
ここから桃花たちのいるところまで
はさほど遠くない。大声を出せば気づ
く距離だ。
たが、人混みで見えずらいし、零も
紫乃も呼ぼうとは考えなかった。
零は桃花が選んだ淡い色のワンピー
スに丈の短い長袖を羽織っていた。裾
にレースがあしらってある。