第9章 第8章 遊園地
入り口近くの端末機を見れば、全体
図が表示されている。
桃花たちは入る際に、手のひらサイ
ズの端末機を渡されていた。
地図の代わりのようなものだ。出る
際に返品するので損傷や紛失した場合
は弁償とされている。
「最初から飛ばすのはきついから、ゆ
ったりしたやつから乗ろ?」
桃花が端末地図を見ながら提案する
と、リーシアが不満げな顔をした。
「ええ、最初からどーんと飛ばしちゃ
おうよ。全力疾走停止なしだよ」
「それだと昴くんがすぐに疲れてしま
いますよ。人のことも考えてあげてく
ださいよ」
なぜ自分の名前が出されたのかわか
らず、昴は怪訝な顔をした。
「俺、体力はあるほうだぞ?」
「それは前の模擬戦闘で知ってる。け
ど、あくまで一般人の中でであって、
私たち魔力持ちに比べると赤子という
か比べ物にならないというか」
素直すぎる言葉に男の面目が潰れそ
うになる。
桃花はそれには気づかずに、小さな
子どもを見るような眼と口調でリーシア
を説得した。
「だから、最初から飛ばすのはやめま
しょう? 時間からたくさんあるんで
すから。ね?」
リーシアは諦めたようにため息を吐
くと、桃花を軽く睨んだ。
「仕方ない。承諾しよう。───駄々
をこねる子どものように見られたのは
心外だがね」