第9章 第8章 遊園地
零と紫乃の姿はないが、他の人たち
は既に来ていて、昴が最後のようだっ
た。
学校で会うときより少しだけ大人っ
ぽい印象の桃花が手を振っている。
「遅刻だよ、昴くん」
桃花は軽く頬を膨らませ、昴の腕に
絡みついた。
「いや、ゲームしてたらいつの間にか
朝が来てて……」
「夜はしっかり寝たほうがいいよ。生
活リズムの乱れは自律神経失調症の原
因になるから。
きみみたいに若いうちからそうなっ
たら、大人になったとき病気がちのス
トレスに弱い体質になる恐れもある」
真面目くさった口調で言ったのはリ
ーシアだ。
紫を基調にしたゴシックファッショ
ンに身を包みタイツを履いている。
「いや、寝たくても夜が俺を寝かせて
くれないというか俺の中では朝が夜っ
ていうか夜が恋人というか」
「何言ってるかわかんない」
「そんなの言い訳だろ。眼を瞑ってた
らいつかは寝れるぜ」
夕は昴の言葉を遮るともう疲れたよ
うな顔で入り口を親指で指差した。
「で、うちの短気な暴力娘とその保護
者がお前が来るの遅かったせいで先に
園内に行っちまったんだが」
「え、嘘?」
問い返したのはなぜか桃花だった。
気づいていなかったようだ。