第9章 第8章 遊園地
「明日楽しみだねー」
桃花は店を出ると、零の手を握った。
「絶対、絶対! さっき買った服着て
きてね? 髪もやりたいから明日また
零の家に行くから」
零は軽く顔を顰めると、舌打ちして
手を振り払う。
手を振り払われて、桃花は悲しそう
な顔をする。
実際、疑問だった。零の自分に対す
る態度は他の人と違う壁があるように
感じる。
なぜだろうか。自分は零に何かした
ことはない。
(照れ屋なのかなあ……?)
零が聞いたら睨まれそうなありえな
いことを大真面目に考える。
自分が誰かから嫌われるなんてあり
えないし、そんな恨みを買うことはし
たことはない。
一体、どうして……。
桃花は俯き、嘆息すると、
「今日はありがとう。また明日」
返事がないことは知っているので、
そのまま振り返って歩き出す。
とぼとぼと歩きながら、またため息
を吐いた。
「もっと、零と仲良くしたいのに」
それは到底叶わないことだろうと思
った。
翌日、昴は待ちわせ時間に20分も
遅れてやって来た。