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イチイ

第9章 第8章 遊園地


「……そんなに嫌?」
 
 不安そうな顔をする桃花に零は首を
振って、
 
「めんどいだけだ」
 
 と、答えた。桃花は安心すると、零
の手を引っ張って家を出た。
 
 服屋に向かう道すがら、桃花は昴く
ん可愛いって言ってくれるかなあとか、
メイクはどんなのがあの服装に合う
かななど喋っていた。
 
 零が無言で相槌すらうたないため、
一見すると桃花のひとり言だ。
 
 そのひとり言には昴の名前が多かっ
た。本人は無意識なのだろう。
 
 着いた服屋に入り、桃花は早速服を
何着か選んで零を試着室に向かわせた。
 
「じゃあまずはこれ!」
 
 差し出された服を受け取り、零は試
着室のカーテンを閉める。
 
 しばらくしてカーテンが開いて、試
着した零を見て桃花は感嘆の声を上げ
た。
 
「すっごい可愛い! あ、でもこれも
試してほしいな。あとこれとか、これ
もいいなあ、あ、これも!」
 
 手を打ってはしゃぐ桃花に零は(な
んでそんなに楽しそうなんだ)と、疑
問に思うが口にはしない。
 
 新たに差し出された服を受け取り、
またカーテンを閉める。
 
 そして終わったら桃花に見せる。そ
れを数回繰り返した。
 
 見せるたびに上がる感嘆の言葉に零
はうんざりしていたため、着せ替え人
形が終わった時はほっとしていた。
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