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イチイ

第9章 第8章 遊園地


 生活臭が全くしない部屋だった。
 
「ほんとにここで暮らしてるの……?
暮らせてるの……?」
 
 思わずそんな疑問が口から零れた。
そのくらい何も無い部屋なのだ。
 
 零はそれには答えないで、顎だけで
桃花を促す。
 
 促されて桃花は持ってきたいくつか
の服を床に並べた。
 
「組み合わせはこれがいいと思ってる
んだけど……どの服にしたらいい?」
 
 床に座り、零を見上げる。
 
 零はしばらく睨むように服を見てい
たが、1番端の服を指差した。
 
「これ?」
 
 確認するように桃花が指差したのは、
白のスキニーパンツに青いシャツと
花柄模様のジャケットの組み合わせの
服だ。
 
「じゃあ、これにしよっと。ありがと
う零」
 
 桃花は服を元通り鞄にしまうと、立
ち上がってにこりとした。
 
「じゃあ、次は零の服選ぼ」
 
「……は?」
 
「だから、零の服! どうせ黒とか白
のパーカーとスカート以外持ってない
でしょ? 零のことだから。
 だから今から服買いに行こ。それに
私の選んでもらう代わりに零の服選ん
であげるって言ったよ?」
 
 零は何か言おうとするが、言葉が見
つからず、苛だしげに頭を掻いて舌打
ちした。
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