第2章 第1章 戦闘員出動
夕は考えるように男子生徒を見る。
「正直、こいつがクルーンの仲間とも、
ただの一般市民ともまだわかんねぇし
な……」
「あれが見えた時点でただの一般市民
はないと思うけど……」
最もなことを紫乃が言って、零が一
歩前に出た。
「じゃあ、もしかしたら、魔力持ちっ
て可能性も……? 零、まだ殺すな」
今にも男子生徒を殺そうとした零を
夕が止める。
「魔力持ちなら魔法科にいるはずだよ
ね。でも、この人は一般市民って言っ
てるし……」
桃花はますます夕の後ろに隠れ、男
子生徒に警戒の目を送る。
「連行する? 地下の懲罰房に入れて
もらう?」
桃花の言葉に男子生徒は青ざめた。
尻餅をついたまま後退った。
ゲリエ学園には地下と地上のふたつ
に懲罰房がある。
地上のほうは校則違反や風紀を乱し
た者が入れられるが、地下は違う。
今の男子生徒のように正体不明の者
や罪を犯した魔力持ちが入れられる。
夕は目を細めた。
「そのほうがいいかもな……」
「いや、だから待ってくれって!!」
「その必要はないよ」
男子生徒の声と誰かの声が重なった。
桃花たちは振り返る。