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イチイ

第8章 第7章 接触


 桃花は手を振り、昴の家を出ていっ
た。
 
 
 桃花は薄暗い道を歩きながらとても
気分がよかった。
 
 あなたに会えてよかった。
 
 あなたが大好き。
 
 この気持ちを早めに伝えることがで
きて、大満足だった。
 
 この言葉に深い意味なんてない。
 
 少なくとも、今はまだ。
 
 昴のことを性の対象として好きにな
るほど、深くは知らない。
 
 けれど、好意を寄せているのだけは
確かだった。
 
 昴といるとあたたかい気持ちになれ
る。ほんわりとした感じだ。
 
(昴くん、動揺してたなあ……)
 
 大好きと言った時の昴の様子を思い
出して桃花はくすくすと笑う。
 
 あんなに真っ赤になって狼狽えるな
んてやっぱり童貞だ。
 
(そういえば、理事長にキスされた時
もすっごく動揺してたなあ)
 
 その時のことを思い出しておかしく
なると同時に、胸の辺りがじくりと痛
んだ。
 
 不思議に思いながら胸を抑える。心
臓の呼吸が伝わる。
 
(あれが、昴くんのファーストキスだ
ったのかな?)
 
 さらに胸が痛んだ。この痛みはなん
なのだろうか。
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