第8章 第7章 接触
唐突にどこか感慨深い口調で言った
桃花に昴は不思議そうな眼を向けた。
心配そうに訊く。
「親とかと食事したことないのか?」
「ないわけじゃないけど今はひとり暮
らしだから。
小さい頃も親は仕事で遅かったりし
たからあんまりないや。あ、でも、仲
はいいよ」
昴は何か言おうとして、結局黙って
食事を続けた。
食べ終わるとお礼と桃花が皿洗いを
した。
それも終わると桃花と昴はしばらく
雑談をする。
「じゃあ、その田中のおじいさんは昴
くんのこと放浪人と思ってるの?」
「そうなんだよ……ただの高校生です
って言っても聞きやしなくて……」
時間を忘れて会話に花を咲かせてい
たが、午後7時を過ぎる頃になって、
桃花は残念そうにした。
「もうちょっと居たいけど……これ以
上は無理かな」
「送るか? いらないかもだけど」
「大丈夫、ありがとう。……あのね」
「ん?」
「私、昴くんに会えてよかった」
桃花は少しだけ身を乗り出した。
#NAME1は#親しみのこもったの眼
差しが昴の眼で覗き込む。
昴はその純粋な瞳に照れくささを覚
えた。