• テキストサイズ

イチイ

第8章 第7章 接触


 ところどころに漫画や洗濯物がいく
つか散らばっているが、掃除はしっか
りされている。
 
 居間のすぐ隣に襖があった。寝室だ
ろう。開けていいか尋ねると断られて
しまった。
 
 つまらなそうに口を尖らせながら、
桃花は座った。
 
「作ってる間適当にしててくれ」
 
「うん。楽しみにしてるね」
 
 桃花は昴の夕飯ができるまで漫画を
見たりスマホをいじったりしてのんび
り待った。
 
 やがて完成したカレーを見て歓喜の
声を上げる。
 
「甘口? 中辛? 激辛?」
 
「中辛。辛いの苦手か?」
 
「中辛なら大丈夫。はやく、はやく食
べよう!」
 
 待ちきれない様子で桃花は昴からス
プーンを受け取るといただきますと手
を合わせた。
 
「食い意地はってるなぁ……」
 
「そんなことないよ。昴くんの料理楽
しみだったから」
 
 桃花はカレーを1口口に含むと、意
外そうに眼を丸くした。
 
「おいしい! ……私より上手な気が
する……」
 
「カレーだぞ? 簡単なやつだし」
 
 昴も反対側に座るとカレーを食べ始
める。
 
「誰かと食べる食事って幸せだね」
/ 180ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp