第8章 第7章 接触
以前、紫乃が吸っているの見て、勧
められてから零も吸うようになった。
ただ、零も紫乃もヘビースモーカー
というわけではない。
ストレス解消程度なのだが、零は煙
草よりはお酒のほうが好きだった。
きっかけは卒業した先輩から勧め
られたからだ。入手先もその先輩だ。
未成年なのに喫煙に飲酒という校則
どころか法律も破っているが、『ばれ
なきゃ大丈夫』なのだ。
これは紫乃の言葉である。
屋上の扉を開け、零は隅の方に歩い
ていく。
座ると、煙草の火をコンクリートの
地面に押しつけて消す。
零は腕を枕にして、横になる。目を
閉じて、眠りについた。
放課後、桃花は商店街エリアで夕飯
の材料を選んでいた。
料理は得意というほどではないが、
ひとり暮らし歴が長いので、自炊をよ
くするため人並みにはできる。
持参の買い物かごに材料を放り込ん
でいると、前方に昴の姿を見つけた。
顔を輝かせ、名前を呼んで駆け寄る。
昴が振り返るのと、止まれずにその
身体に抱きつくように倒れたのが同時
だった。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫! ごめんね」
慌てて体勢を直した。