第8章 第7章 接触
呼び出しの要件は校内で起こった暴
力沙汰のことだ。
零は売られた喧嘩は買う主義だった
し、気に入らないことがあれば暴力で
解決するタイプだ。
先月殴り倒した先輩の友だちが報復
とばかりに裏庭に呼び出し、逆にぼこ
ぼこにしたのは一昨日のことだ。
普通は生徒の暴言沙汰ごときに理事
長が出ることはない。
だが、零はねちねちと説教してした
生徒指導の先生すらも病院送りにした
全科があるため、先生陣は怒るに怒れ
ないのだ。
しかしそれだと贔屓になるし、ほか
の生徒に悪影響を及ぼす恐れがあるた
め、零の暴言沙汰は理事長の担当にな
っている。
零は女子には手も足も上げない(戦
闘を除く)という紳士な一面があるた
め、他の先生陣も安心して理事長に任
せている。
零はがしがしと頭を掻くと、廊下を
歩いて階段を上り始めた。
予鈴の音を聞きながら、屋上で昼寝
でもしようと思う。
この学園はわざわざ屋上に行かなく
ても校舎内に絶好のさぼり場所がたく
さんある。
そのため、人のいない屋上は零にと
ってはお気に入りのさぼり場所の一つ
だ。
上りながら、零はジャージのポケッ
トから煙草の箱を取り出した。
中から煙草を取り出して、口に咥え
て、ライターで火をつけた。
慣れた手つきだった。