第8章 第7章 接触
昴はルシェリを上から下まで見回し
た。
女性と断言できないが、男性とも言
えない。体格もあるが、何より長い黒
髪がそう見させている。
豊も中性的な顔立ちをしているが、
こちらはまだ男性だとわかる。
「え、お前ら同性愛好者なの? あ、
偏見とかはないぞ?」
「さあ? わかんないけど、ぼくと豊
は仲間なんだ」
「仲間?」
「相棒でもいい……。ルシェリとゆた
かは、お互いを護る……」
豊はルシェリに抱きつくとその頬に
口づけをした。
お返しにとルシェリも豊の頬に口づ
けを落とす。
男同士とわかっていてもお似合いの
『美男美女』だなと思ってしまう。
「昴も、そういう人はやくつくれると
いいね」
ルシェリは少し屈むと昴の頬にキス
をした。
驚いてる隙に豊が反対側の頬にキス
する。
「じゃあね……」
「ばいばぁい」
石のように固まっている昴を尻目に
ふたりは仲良く肩を並べて去っていっ
た。
零は理事長室から出るとめんどくさ
そうに舌打ちした。