第8章 第7章 接触
「朝比奈昴。さっき仲良くなったんだ
よ。豊も連絡先交換しなよ」
「そうなの? えっと、すばる。ゆた
かとも連絡先交換してくれる……?」
ゆっくりとした口調の声がマフラー
でくぐもって聞こえる。
昴は承諾して、連絡先を交換した。
「ありがとう……。あ、もう少しで昼
休み終わるけど……すばるもざぼりな
の……?」
「おう。そっちは彼女とデート?」
ほんの少しからかって訊くと、豊は
首を振った。
「ううん。彼氏とデート……」
「え? だって……おまえ男だろ?」
「うん……」
「んで、デート相手はルシェリしかい
ないだろ?」
「うん……」
「だったら彼女とデートだろ? ルシ
ェリはおまえのこと彼氏って言ってた
ぞ」
豊はあぁと手を叩いた。ルシェリを
指差す。
「これ、男だよ……。これがゆたかの
彼氏です……」
昴は絶句した。耳を疑った。
豊の隣ではルシェリが困ったように
笑っている。
「ぼく、豊を彼氏とは言ったけど、ぼ
くが女とは一言も言ってないよ?」
言われてみればそうだ。