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イチイ

第8章 第7章 接触


 おもしろそうな人だと思った。
 
 背は高く体格もいいのに、怖いとい
う印象がない。
 
 むしろ、親しみやすそうな感じだ。
 
 ふと、ルシェリは首を傾げた。彼は
自分の媒体とは少し違う。
 
 まだ誰とも契約を結んでないからか
と思ったがそこで気づく。
 
 自分の媒体はぁ『媒体という体質』
を除けば一般人だ。
 
 けれど、この男は……。
 
「……おもしろくなりそうだねぇ」
 
 ルシェリは小さく呟いた。
 
 
「ねぇ、零……」
 
 桃花は零の少し後ろを歩きな
がら躊躇いがちに話しかけた。
 
「さっきの人さ……知らない人のはず
なんだけど……何か……ううん……」
 
 要領の得ない言葉に零はちらりと紫
水晶の目を向ける。
 
 桃花は首を竦めた。
 
「……零は、何も感じなかった? 感
じたならそれが何か教えてよ」
 
 縋るような声に零は足を止めた。振
り返り、桃花を見つめる。
 
「自分で考えろ」
 
 冷たく吐き捨てると、零はまた歩い
てしまう。
 
 桃花は軽く眉を顰めながらも無駄と
はわかっていたので何も言わずに後を
追った。
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