第8章 第7章 接触
とりあえず、レティたちに報告をし
よう。思わぬ収穫もあった。
ずっと探していた守護の女神が化け
物といるなんて驚きだ。
ネイロは少しだけ足を速めた。
ルシェリが媒体を見るのはこれで2
人目だった。
そのひとりとは契約を結んでいる。
ルシェリの視線の先には背の高い男
が公園のベンチに座って身体を伸ばし
ている。
ルシェリはその向かいの噴水を囲む
石造りの枠に腰を降ろしていた。
隣には小鳥が佇んで、時折ルシェリ
の手の甲をつついている。
今は平日の昼間、本当なら学校の時
間なのだが、正面の男は制服姿にもか
かわらずサボりらしい。
背もたれに寄りかかり、空を見てい
るか時折スマホをいじり、時折目を瞑
ってうつらうつらとしている。
ルシェリは怪しまれない程度に観察
していたが、男はよく公園を利用して
いるらしい。
ぼーっとしている男に小学生くらい
の女の子が話しかけて、去っていく。
背の高い男は笑ってその子に手を振
るが、しばらくすると落ち込んだよう
に頭を抱えてしまう。
今度は杖を持った老人夫婦が男にち
かづいたかと思うと慌てる男に飴を渡
して去っていく。
男はそれを複雑な顔で見ながら、1
口噛んでは、また頭を抱える。
見ていたルシェリはくすりと笑う。