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イチイ

第8章 第7章 接触


 その問いかけにも白髪の生徒は答え
ない。
 
 じっとネイロを見続けると、口に入
れていた棒付き飴を取り出して、ぺろ
りと舐めた。
 
 白く小さい歯を立てて、飴をガリッ
と噛む。そしてネイロから興味が失せ
たように視線を外し、その横を通り過
ぎる。
 
「あ、零! 待って!」
 
 声の生徒がそれを慌てて追いかけ、
ネイロにぺこりと頭を下げた。
 
 遠くなっていく足音に耳を済ませな
がら、ネイロは大きく息を吐いた。
 
「守護の……女神……」
 
 茫然と口から零れた言葉。ネイロは
ゆっくりと振り向く。
 
 そこにはもう誰もいない。
 
 ネイロはまたため息を吐くと、窓ガ
ラスに寄りかかった。
 
 1度にたくさんのことが───実際
にはたくさんではないが───起こっ
て混乱していた。
 
「化け物で神様に、おまけに守護の女
神までいるとは……」
 
 おまけにこの学園には他にも神様が
ひとりいて、媒体もいる。
 
(おっかない、おっかない。人外生物
の集合場かよここは)
 
 ネイロは寄りかかっていた体制を戻
すと、窓を開けて飛び降りた。
 
 2階ほどの高さなら苦でもない。
 
 飛び降りたネイロはそのまま裏門へ
向かった。
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