第2章 第1章 戦闘員出動
紫乃は軽く悲鳴を上げながら、左に
飛び退いた。
その拍子に、煉瓦の家の壁に後頭部
を軽くぶつけてしまう。
零は振り下ろされるハンマーに気づ
きながらも、逃げるより先に襲いかか
ってきたクルーンを斬った。
斬り終わる頃にはハンマーはもうほ
とんど目の前だった。
零は鉈を回転させる。すると、ぐり
ゃりと歪んで、鉈が大人の身長の3倍
はありそうなほど巨大化した。
零はそれをハンマーに向かって振っ
た。ハンマーの表面が斬られていく。
金属物同士が擦れる音が響き渡り、
桃花たちは耳を塞いだ。
ハンマーはパカッと割れ、砂のよう
に崩れながら消える。
「すっごい!」
感嘆の声を上げながら桃花が零に駆
け寄る。
「今の、何だったんだろうね? 初め
て見るなぁ。あっ、怪我ない?」
桃花の問いかけに零は答えずに、紫
乃のほうを向く。
「ん? あ、僕? 僕も大丈夫だよ。ち
ょっと頭ぶつけただけだし、痛くない
し」
紫乃はにこりと笑いかける。零は今
度は男子生徒へと視線を向けた。
「あ、あの人も怪我ないよ。防御壁張
ってたから」
桃花の答えに零は首を振る。
無言で男子生徒を見つめた。