第7章 第6章 操り師
ネイロはあいを無視して上半身だけ
を起こす。
「いやバレてないのは嬉しいけど、街
の一部が壊れたことに関しても何の話
題がないのが気になってるんだよね」
ネイロは視線だけで何か知ってるこ
とはないかと仲間に尋ねる。
双子は顔を見合わせてそっくりな仕
草で首を傾げる。
ソウは無言で首を振った。いつの間
にか紅茶を飲んでいる。
「あ~……んっと……。可能性がある
としたら、誰かが記憶の塗り替えをし
てる……とか?」
身を乗り出したあいが煮え切らない
態度で言う。
「塗り替えって住人全員の? かなり
の魔力使うぞ?」
「だよな……」
あいは深く座り直すとレティを横目
で見た。
レティは口元を覆い、一点を見つめ
て考え込んでいる。
「……もしかしたらゲリエ学園の理事
長の仕業かもな」
「理事長? ってあのいつもにやにや
してる女?」
ネイロはレティを見上げると怪訝な
そうな顔をした。
「オレ、豊を迎えに行った時に遠目で
見た記憶ある」
「俺はいろいろあって何回か会ってるからわかるが……。
あの女、相当な魔力量だぜ。記憶の
塗り替えくらい簡単にやれそうだし」