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イチイ

第7章 第6章 操り師


 毛布の固まりを揺らす。すぐにくぐ
もった声が聞こえた。
 
「せんせえ、バナナはおやつにはいり
ますかぁ……」
 
「はあい、おやつもバナナも食べ物で
す、だからバナナはおやつにはいりま
す……」
 
「わあい……」
 
 レティは双子の寝言に暫く停止する
と、少女を見た。
 
「こいつらどんな夢見てんだ?」
 
「私に訊くなよ。確か寝る前に山登り
してくるとか言ってたな」
 
 少女は身体を起こすと、漫画を閉じ
てテーブルの上に置いた。
 
「一応言っとくな。クルルとソウは材
料集め。ネイロは学校」
 
「ふうん」
 
 どうでもよさそうにレティは生返事
する。
 
「豊とルシェリはデート中───カフ
ェで新商品のケーキ食べてくるんだと
よ」
 
「どうでもいいわ」
 
 レティは即答すると、再度双子を起
こそうとする。
 
 何度か揺すり、声をかけると双子の
片方が目を覚ました。
 
「ふわあ?」
 
 寝癖でボサボサになった長い黒髪に
寝ぼけ眼から覗く瑠璃色の瞳。
 
 双子の片割れが起きるともう片方も
すぐに目を覚ました。
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