第7章 第6章 操り師
今は誰も使っていない廃病院、その
地下に続く階段前のシャッター。
そこにレティが立っていた。
レティはシャッターを上げると、石
造りの階段を降りていく。
靴底が鳴らす音が周りに響く。地下
2階へと着き、扉の前で止まった。
長方形にくり貫かれた壁に透明な硝
子が張ってある。
しかし、特殊な造りになっているの
か硝子の向こうは白い霧が見えるだけ
だ。
レティは硝子の右横にある数字盤に
10桁の数字を打ち込んだ。
硝子が溶けるように消え、レティは
中へと入る。同時にまた硝子の扉が閉
じた。
中には長椅子やクッション、テーブ
ルや寝台、本棚などか置いてある。
『家の中』を思わせる感じだった。
ソファーに寝転がり、漫画を読んで
いた少女が顔を上げる。
「あ、おかえりレティ」
「ただいま。……あれ、誰が寝てるん
だ?」
レティは膨らんだ毛布を見て少女に
尋ねる。
「双子が寝てる」
「はあ? 今日はあいつらの担当の日
だろ」
レティが片眉を吊り上げ、双子を起
こそうと歩み寄る。
「おい、起きろよ」