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イチイ

第7章 第6章 操り師


 間髪入れず返ってきた言葉にリーシ
アはため息をついた。
 
「現実見ようよ」
 
 沙弥はその言葉に苛立ちを見せた。
理事長机に寄りかかるリーシアの横を
蹴る。
 
「現実を見ろ? あんたがそれを言う
の?」
 
「おや? ボクが現実逃避してるとで
も?」
 
「違うわ。あんたは何も見ていないの
よ。
 
 現実も、虚妄も。あんたは何も見て
いない」
 
 リーシアは目を伏せると、口元を歪
ませた。
 
 歯と歯の間から小さな笑い声が洩れ
る。
 
 沙弥は気味悪そうに後退った。
 
「だって、壊れちゃうじゃないか」
 
「はあ……?」
 
 リーシアは沙弥の目をじっと見る。
 
 何も言わず、ただ笑って見つめる。
 
 沙弥はその視線に不気味を覚え、不
快感が背中を撫で回した。
 
「それは、どういう意味なの……?」
 
 リーシアは小首を傾げると、にやっ
と笑い、見当はずれなことを語った。
  
「守護の女神が記憶を取り戻すその日
まで、観客を楽しませ続けようじゃな
いか」

 
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