第7章 第6章 操り師
「その刺激とやらが溜まった仕事を指
してるならあんたを殴るわよ?」
「大丈夫! 仕事が溜まってもふたり
の共同作業で何とかなるさ!」
「ふざけるな」
ドスの効いた沙弥の声にリーシアは
わざとらしく肩を竦めた。
「こわいねえ。美人の怒り顔ほど、こ
わいものはないよ」
リーシアは理事長室に腰をかけ、足
を組む。
「でもさ、思い出してよ。ボクの苦労
は君の苦労。そして、ボクの幸せはボ
クのもの。
だから、仕事が溜まったらきみの責
任にもなるんだ」
「もう1度言いましょうか? ふざけ
るな」
沙弥は理事長机をガンッと蹴る。
リーシアは仕方がなさそうに首を振
りながら机の上から降りた。
「何がきみをそんなふうに変えてしま
ったのだろうか……。
ボクは悲しいよ、昔は信頼の眼差し
でボクを見ていてくれていたのに」
沙弥は口に手を当て、暫く考え込ん
だ。
「……いや、今必死に思い出してるけ
ど、そんな眼差しで見てた覚えないわ
よ。
記憶の改竄でもしてるのかしら?」
「きみが?」
「あんたがよ」