第7章 第6章 操り師
笑いを止め、顔を上げたリーシアは
こちらを睨む沙弥の顔を見て、微笑ん
だ。
「気持ち悪いとは失礼な」
「気持ち悪いわよ。ひとりでにやにや
笑って。……ああ、それはいつもの事
ね、謝るわ。
普段から気持ち悪い奴に今さらだも
のね。ごめんなさい」
次々と毒舌を浴びせる沙弥だが、リ
ーシアにダメージはない。
「酷いなあ、傷ついたよ」
口ではそう言うが、上機嫌なリーシ
アに沙弥はますます強くリーシアを睨
んで舌打ちする。
「何でそんなに機嫌いいのよ?」
「操り師たちが表舞台にまた立ち始め
たからさ!」
リーシアは両手を広げると、歓喜の
声で叫んだ。
「こっちは今か今かと首を長くしてい
て、やっとだよ!
こんなに嬉しいことがあるかい?
ないよね!」
リーシアはくるくると踊るように回
り始める。
「回ってないで止まりなさい」
沙弥に注意され、リーシアは回転を
止める。
「あたしにはわからないわね。操り師
たちが動いたって面倒事が増えるだけ
じゃない」
「そんなことないさ! それに、人生
には刺激は必要だよ?」