Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)
第2章 彼女の世界
「まだ決めかねていると、それではダメかしら」
「さあ……あたしはただの伝令ですから」
彼女は此れ見よがしに肩を竦めてみせる。
確かに伝令役の下級兵なら、答えようもないかと天を仰ぎまた一つため息。
「なかなか難しいものね、エルディアの生まれというだけで」
「どこへ行かれるのですか」
椅子から立ち上がる時に上がるよっこらせ、という言葉に年齢を感じる。
そのままさも当然のように自室を出ようとするヒルドルの背中に部下の声がかけられたのも、まあ当たり前のことだろう。
「ちょっとした散歩よ、すぐに戻る……決断はまだ下せませんとだけ伝えて。ヒルドル・メニヤは頭の悪い間抜けなエルディア人だからまだ決めきれてないようです、とでも付け足せばいいでしょう」
「イエス.マム。本当に伝えますよ」
「構いません」