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Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)

第10章 天と地の時間


 自由を取り戻したヒルドル・メニヤは、燃え盛る戦場を駆けていた。

 操られるだけの存在ではなくなった今、彼女は 自分の意志 でこの戦いに身を投じていた。

 目の前を跳ぶ鎧の巨人の背中——ライナー・ブラウン。

 彼は今、誰かを救うために戦っている。
 マーレのためでもなく、名誉のためでもなく。

 (あの子は……もう、私が知っていた子ではないのですね)

 オカピの巨人が、異様な鳴き声を響かせる。

 ライナーが脚を取る。

 その瞬間、ヒルドルは巨人の 背中に喰らいついた。

 「……っ!」

 オカピの巨人が暴れる。

 その度に、ヒルドルの巨人の 装甲が砕け、崩れていく。

 それでも彼女は腕を食い込ませ、がっちりと抑え込んだ。

 (ライナー、今です!)

 合図などない。
 だが、彼女の意図を察したのか、ライナーの巨人がさらに力を込めた。

 ミカサ・アッカーマンがオカピの巨人の口へと飛び込み、アルミンを救い出す。

 「……っ!!」

 オカピの巨人が大きくのけ反る。

 その一瞬の隙をついて、ヒルドルの巨人が 巨体を地面へと押し倒した。

 砂煙が舞う。

 巨人同士が交錯し、ライナーとヒルドルは互いの巨体を支え合いながら着地した。

 一瞬の静寂。

 ライナーが、荒い息をつきながらヒルドルを見た。

 「……よくやりましたね、ライナー」

 ヒルドルが、かつての戦士長としての言葉を口にする。

 ライナーはわずかに目を見開き、そして 顔をしかめた。

 「……今更、戦士長面しないでくれ……!」

 その言葉に、ヒルドルは微かに笑う。

 たとえこの戦いの果てに何が待っていたとしても——

 今だけは、隣で共に戦える。
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