Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)
第10章 天と地の時間
ライナーの叫びが戦場に響いた。
「二度目だ!!」
——また、俺はヒルドルを手にかけた。
鎧の巨人の咆哮は、悔恨と喪失の叫びだった。
しかし、戦場は彼に後悔する時間すら与えなかった。
歴代の巨人を召喚する始祖ユミルが、ライナーの動きが鈍ったことを見逃すはずがなかった。
彼は「鎧の巨人」という兵器として戦いにおいて重要な役割を担っている。
それが 一体の巨人の前で動揺し、戦意を失っている。
ならば——
もう一度、戦わせればいい。
——ヒルドルの巨人が、地響きを立てて再び現れた。
「……やめろ」
ライナーは震える声を漏らした。
「やめろ、やめてくれ……ッ!!」
彼の言葉など意に介さず、ヒルドルの巨人はまっすぐ彼に向かって駆ける。
命じられた通りに。
ただの操り人形として。
——ヒルドルの意思を 完全に無視して。