Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)
第6章 すれ違う時間
報告を終えたライナーは、休暇を言い渡され、実家へ戻ることになった。
家の前に立つと、母のカリナ・ブラウンが玄関で待っていた。
「ライナー……」
目に涙を浮かべながら、彼女は声を絞り出す。
「よく……無事で帰ってきてくれたね」
その言葉には確かに感情がこもっていた。しかし——ライナーは、違和感を覚えた。
周囲では、ベルトルトの家族たちが無事を喜び、抱きしめ合う姿があった。だが、カリナはそうしなかった。ただ「おかえり」と言っただけ。
(……そういうものだ)
ライナーは納得しようとする。この家では、それが普通なのだと。
家に入ると、ベッドが目に入る。
明らかに小さい。
この数年で大きくなった自分の体には、もはや窮屈すぎるベッド。
(母さんは、俺が成長して帰ってくるだろうと考えなかったのか……?)
だが、その考えもすぐに頭の隅へ追いやる。
(そんなはずない。わかっていても、変える余裕がなかったんだ……)
自分を納得させながら、ライナーは「その辺を見て回る」と言って家を出た。