• テキストサイズ

Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)

第6章 すれ違う時間


ライナーとベルトルトは、ジークの先導で名誉マーレ人統括長官のもとへ向かう。

 「よく戻りましたね、戦士たちよ」

 長官室に入ると、そこにいたのは軍服をきっちりと着こなした一人の女性だった。

 (……誰だ?)

 ライナーは瞬間的に違和感を覚えた。

 無意識のうちに、彼は口を開く。

 「失礼ですが、長官。最近就任されましたか。つまり、俺たちが島へ発ってから」

 長官は微かに眉を上げたが、落ち着いた声で答えた。

 「いいえ、私が就任したのはあなた方が出立する直前です」

 ライナーは考え込んだ。

 出立する直前? そんなはずはない。

 自分がマーレにいた頃に長官が交代した記憶はない。

 では、その時の長官は誰だった?

 ——思い出せない。

 頭の奥に靄がかかったような感覚が広がる。今目の前にいるこの人では無いのは確かなのに。
誰かがいたはずなのに、顔も、声も、何も思い出せない。

 ただ、胸の奥に妙なざわめきが残った。

 「……そうでしたか」

 言葉を絞り出し、ライナーはそれ以上問い詰めることなく、報告を続けた。
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp