• テキストサイズ

Ég mun fela þig(進撃の巨人・ライナー夢)

第3章 彼の世界2



『マーレの船は望月に到着する』


上官の言葉が正しければ、迎えが来るまでもう数日ある。
それまでは待機しかないという言外の指示にパラディア湾岸で彼らは思い思いに、と言うには空気があまりにも重いが、それぞれの時間を過ごしていた。
それまでは海岸で三角座りをして水平線を眺めていたベルトルトが、ふとユミルの方を向く。
彼女は砂浜に大の字で横たわり、何をするでもなくただただ夜空を見上げている。
その視線の先にあるのは小望月、というには微かに細いような気もする月。だいたい十三夜か十四夜くらいだろう……この頃怒涛の毎日で空を見上げることも暦を目にすることもなくて、今日の正確な日付がわからない。


「ねぇ、ユミル」

「なんだよ」


すん、と少し鼻を鳴らした後ユミルはぶっきらぼうに反応を見せる。


「君にとってクリスタは……どういう存在だったんだ」

「はっ。ばっかじゃねーの」


帰ってきたのは嘲笑。彼女は不敵な笑みを浮かべて彼に顔を向ける。
気弱な彼はそれだけでも少し気圧されたような様子を見せたが、質問を取り下げるつもりは無いらしく彼女から目を離さない。
ユミルはしばらく、そんなベルトルトに半分睨みが入った視線を送っていたがやがて小さくも強く息を吐き出して、はっきりとした声で答えてみせた。


「言葉じゃあ、伝わんねーよ」
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp