第8章 真実
ニノと翔くんが別れてた…
なんで?
君はあの時、進むべき道を選んだんじゃないの?
あの日から、君の表情は穏やかでいつも笑顔で…
だからニノに幸せにして貰っているのだとばかり思っていた。
あれから3ヶ月…君は何を思って笑顔でいたの?
君が幸せそうに笑っていてくれたから、俺も安心して君に頼って笑っていられたのに。
これじゃまるで以前の俺たちと変わらないじゃないか…
君の想いに気付かないで、頼ってばかりいたあの頃と何も変わらない…
どれだけ進歩ないんだよ俺は…
寝ていた翔くんから、僅かに呻き声が聞こえて
ベッド脇に行くと、俺に謝りながら涙を流す翔くん。
なんで…なんで俺は君を苦しめることしか出来ないんだ。
大切なのに…大好きなのに…
翔くんの瞳から流れた涙を拭い、頬に触れるだけで愛しさが込み上げてくる。
こんなにも愛しい人を泣かせることしか出来ないなんて…
あまりにも情けなくて、気が付けば勝手に涙が溢れてた。
翔くんの瞼がピクリと動き、睫毛が震えてゆっくりと目を開く。
「…翔くん」
小さな声で呼び掛けるとゆっくりと視線を俺に向けた。
俺と視線が合うと大きく目を見開いた。
「智くんっ!」
俺がいた事に驚いたのか、飛び起きるようにして慌てて体を起こした。
「翔さん、急に動かない方がいいよ」
俺の後ろからニノが声を掛ける。
ニノの方に視線を向けると翔くんの顔が苦痛に歪む。
「ごめんっ、智くん!ニノ!」
勢いよくアタマを下げる翔くん。
「どうしたの?翔くん?」
翔くんは頭を下げたまま話し出した。
「俺、ふたりに取り返しのつかないことした…」
「何言ってるの?翔さん何も悪いことしてないでしょ?」
翔くんは顔をあげ、首を横に振ると視線を落とした。
「…俺、全部思い出したんだ……
智くんとニノに謝っても謝りきれない酷いことした…」
翔くんの瞳からは涙が溢れ出した。