第8章 真実
メンバーで打ち上げを始めると相葉くんがJr.の話を始めた。
最初は俺も懐かしいなぁ、って思って聞いていたんだけど
相葉くんが初体験の話をしようなんて言い出して
俺の初体験?確か、俺もJr.の時その話で盛り上がったよな?
あの時誰とその話をした?
あの頃よく一緒にいたのは……
あの頃俺が好きだったのは……
俺の初体験の相手は………
『じゃあさ、俺としてみない?』
そう俺が誘った相手は……
頭の中でボヤけてた姿が浮かんでくる。
『だからってなんで翔くんと』
そう言ったのは………
智くん⁉
急に頭の中に過去の映像が甦った。
俺が無理矢理智くんを誘った…
俺がもう傷つきたくなくてニノを選んだ…
俺が智くんの人生に傷を付けた…
俺は智くんの事を好きになっちゃいけなかったんだ…
それなのに俺はまた智くんを好きになった…
しかも俺を救おうとしてくれたニノを振ったんだ…
俺は何個の過ちを犯したんだろう。
そう思った瞬間頭が真っ白になった。
次から次へと頭の中に浮かんでくる智くんとの思い出。
俺が智くんに償えること…
『俺の事は忘れてニノと幸せになってよ』
智くんがそう望むのなら俺はそれに従おう…
俺はニノに抱かれて智くんを忘れたんだ…
ニノと幸せになる為に…
それなのに俺はまた智くんを好きになってしまった…
何度同じ間違いを繰り返せば気が済むんだよ…
「ご、め…さと、く…」
頬に何かが触れた…とても温かくて、懐かしい…
「ごめん、翔くん…」
智くんの謝罪の声が聞こえた気がする。
智くんが謝る必要なんて、何ひとつないのに…