第12章 恋敵
翌日、カズナリは飼い主の元へ帰っていった。
そして、翔の膝の上には髪を撫でられている俺。
「智くん…」
「ん?」
見上げると微笑む翔と目が合った。
「なんでもない…」
「なんだよ、気になるじゃん」
「ふふっ、幸せだなぁって思ったら智くんのこと呼びたくなった」
可愛いことを言ってくれるじゃん。
「じゃあ、もっと幸せになる?」
腕を伸ばし翔の頬に触れると少し頬がピンクに染まった。
「うん、なる…」
俺は起き上がると翔にキスをした。
翔の顔を見るとさっきよりも幸せそうな笑顔。
ふたりで手を繋いで寝室へ向かった。ベッドに横たわる翔に覆い被さると、翔の腕が俺の首の後ろに回る。
「今日は優しくしてね?」
「お仕置きじゃないから大丈夫だよ」
「ほんとかなぁ~」
クスクスと笑い、疑いの眼差しで俺を見る。
「まぁ、翔次第だけどな?お前が俺を煽ったら俺の責任じゃねぇし」
「え~、そうなの?」
「そりゃそうだろ。俺は抑えなんて利かねぇもん」
「ん~、それもそっか、犬相手にヤキモチ妬いちゃうんだもんね?」
「それだけ翔のこと愛してんだよ」
そう言うと翔は腕に力を込め俺を引き寄せキスをした。
「俺も愛してるよ、智」
「煽ったな?」
「うん。煽った」
「覚悟できてんだろうな?」
「いつでも出来てるよ。智に幸せにして貰う覚悟」
ニコッと笑った翔の唇にキスを落とす。
これから先の人生…もっともっと幸せにしてやるからな、覚悟しとけよ?
End