第8章 真実
「皆も大丈夫だから、疲れてんだから部屋で休めよ」
「わかった、リーダーよろしくね」
「起きたらすぐ呼んでよ?」
「では、お任せします大野さん」
へ?ニノも帰っちゃうの?翔くん意識ないのに?
皆の後に付いて歩いて行くニノを追った。
ニノが部屋を出る手前で肩に手を掛け止めた。
「ニノ、お前も帰るの?」
「え、帰りますよ?なんで?大野さんが見てるんでしょ?
自分でそう言ったじゃないですか」
ニノが不思議そうな顔をして俺を見た。
「いや、そうは言ったけど…
お前は残っててもいいんじゃないか?」
「だからなんでですか…
起きるの待つだけなら大野さんひとりで十分でしょ?」
「じゃなくて…心配じゃないの?俺一人なのに」
「心配ですけど、翔さんが目が覚めたらすぐ連絡するくらい大野さんにだって出来るでしょ?
子供じゃないんだから」
「だーかーらー、そういう事じゃなくて!
恋人を他の男の部屋に寝かせておいて、平気なのかって聞いてるの!」
そう言った瞬間ニノの目が見開いた。
「何言ってるんです?
翔さんは今、貴方の元にいるんじゃないんですか?」
今度は俺が驚いた。
「はっ?何言ってんだ?
翔くんはニノの所に…」
ニノが少し考え込むように目を細める
「やっぱり…」
そう言ったまま黙り込んだ。
「なんだよ、やっぱりって」
「おかしいと思ったんですよ
今日の翔さんの話を聞いてて」
「何がだよ」
ニノが俺の目を見詰めると衝撃の一言を告げた。
「俺と翔さんは、とっくに別れてますよ」
「……え?」
「大野さんは知らなかったんですね?
俺はてっきり大野さんの所に帰ったのかと思ってたんですけど」
「いつ⁉いつ別れたの⁉」
「もう3ヶ月くらい経ちます…
前に翔さんの様子がおかしくて大野さんとふたりきりにした事あったでしょ?
あの時です」
「は?そんな前?だってあの時翔くん道は決まったって…
だからニノと幸せになる道を選んだのかと思ってた」
「いいえ…残念ながら俺はフラれました」
「マジか…」