第1章 後悔
「わかりました…誰にも言いません、でも辛いときは俺に話してください」
「ニノ?」
翔さんが驚いた顔をした。
「安心してください…元々ふたりを離そうとか考えていた訳じゃないんです。
ただ、ふたりの関係が不思議だっただけで、その理由が知りたかった。
理由がわかれば私の疑問はスッキリするので、あとは翔さんの味方になりますよ?」
「ありがとう、ニノ…」
「どういたしまして」
その時は本当に応援しようと思っていただけだった。
自分の気持ちに気づいても翔さんの幸せだけを願っていたんだ…
いつか、大野さんに気持ちが届けばいいなって、それまで支えてあげられればいいなって…
なのに、あの人は翔さんを泣かせてばかりいる。
それに気が付かずに翔さんに頼ってばかりいる。
段々と俺の気持ちは変わっていった…
あんたに翔さんは任せられないよ、って…
あんたが翔さんの事をそんな風に扱うなら俺が貰うから…
俺だったら泣かせるようなこと絶対しない。
だから、あんたは後悔すればいい…
体だけに捕らわれて翔さんの心を見なかったことを…
そして思い知ればいい
失う物がどれだけ美しいものなのかを…
こんなに綺麗で優しい存在に長い間気がつけなかったあんたは罰を受けるべきだ。
そう思い始めた頃、俺の思いを決定付ける事が起きた。大野さんの女性スキャンダル…
結局は本気では無かったようだけど、翔さんを傷つけるには十分だった。
そして、俺は大野さんから翔さんを奪うことを決意した。