第1章 後悔
「あ、えっと、普通に同じグループのメンバーだよ…」
「それだけじゃないですよね?」
すぐに切り返すと翔さんはまた答えに詰まる。
「俺、知ってるんですよ…ふたりの関係」
「な、に、なんの、こと?」
翔さんが表情を強ばらせ俺を見る。
「翔さん、そんな警戒しないでください…
俺が聞きたいのは、大野さんの気持ちがないのに、なぜふたりの関係が続いているかなんです」
そう言うと、翔さんの大きな目が更に大きく見開いた。
そして…翔さんの瞳から溢れた一筋の涙。
その涙を見た時分かったんだ…
翔さんは大野さんの事が好きだけど、大野さんの気持ちはやはり翔さんにないことに。
「翔さん…」
「お願い、ニノ…誰にも言わないで…」
「なんで?大野さんのこと好きなんでしょ?
大野さんはわかってるんですか?」
翔さんは首を横に振った。
「智くんは知らない…知らなくていいんだよ」
「だから、どうしてなんですか?」
「気持ちを伝えて今の関係を終わりにしたくない…」
「なんで?体だけの関係なんて、続けてて意味あるんですか?」
「俺が無理矢理始めた事だから…
だから、この関係に気持ちが加わったら終わっちゃう…
俺は智くんの側にいられれば、それだけでいいんだ…」
「翔さんはそれで辛くないんですか?
大野さんに彼女がいたときもあるでしょ?
それに翔さんに彼女がいたときだって…」
「俺のは智くんを安心させる為のフェイクだから…
智くんとの事は本気じゃないよって、智くんが戻って来やすいように…
だから智くんが他の男の人を抱かない限りは、俺の体を求めて戻ってきてくれる…」
そんなことを言う翔さんは、本当に大野さんの事を好きなんだと嫌ってほどわかった…
わかって、そして気がついた…
俺は翔さんの事が好きなんだって。