第8章 真実
新聞を読んでいたらニノが楽屋に入ってきた。
やっぱり少し身構えてしまう。
ニノが離れた場所でゲームを始めた。
最近は当然のように隣に座っていたのに…ごめんね、ニノ。
そんな俺の視線を感じたのかニノが顔をあげ目が合った。
今まで通りにしてくれって言う。
そうだよな…他のメンバーに余計な気を使わせる訳にはいかない。
ただでさえ俺の記憶がなくなった事で気を使わせてるんだから。
それに智くんにもニノと別れたと絶対バレる訳にいかないんだ。
今までと変わらないようにニノと接していかないと…
そう提案してくれたニノの言葉に甘えよう。
わざわざ早く来てくれたんでしょ?ニノ。
その話を俺にするために、今日いつもより早く来てくれたんだよね?
結局、ニノは俺に甘いんだから。
「ニノ、ありがとう」
笑顔でそう言うとニノが微笑み返してくれた。
「おはよ」
智くんが楽屋に入ってきた。
「おはよ、智くん」
「おはようございます、大野さん」
俺もニノもいつものように挨拶をした。
智くんもいつものように楽屋で過ごす。
俺が振り回してしまった智くんとニノに申し訳ない気持ちはいっぱいだけど
ニノに愛された事、智くんを好きになった事…どちらも良かったと思う。
愛される歓びと、愛する切なさを知れたから。
これからは、ふたりに迷惑を掛けないで、ひとりで強く生きていく…
それがふたりに出来る、せめてもの償いだから。