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あの日の君に 《気象系BL》

第7章 決意


2度目のインターフォンが鳴り、玄関を開けると翔さんが俯きがちに立っていた。

「いらっしゃい」

笑顔で翔さんを迎えると、翔さんは顔をあげ少し顔を歪めて微笑んだ。

「…お邪魔します」

リビングに入ってもソファに座ろうとしない翔さん。

「翔さん、座って?」

微笑み掛けると翔さんはゆっくりとソファに腰をおろした。

そして、大きく息を吐くと俺の顔を見つめた。

その表情はさっきまでの不安そうな顔ではなく、しっかりと意思を秘めた顔だった。

「ニノ。俺、ニノに話したい事がある」

「なに?」

「ごめん、ニノ。俺、もうニノと一緒にいられない」

翔さんが一言一言をゆっくりと告げていく。

「…そっか、いいよ?終わりにしよ?」

俺は敢えて軽く答えた。

そんな俺の様子に翔さんは驚いた様だった。

「ニノ?」

「なに?」

「え、あ、あの、そんな簡単、なの?」

「駄目?泣いて引き留めた方が良かった?」

「いや、それは…」

「ふふっ、困るでしょ?」

「…う、ん…」

翔さんが困惑気味の表現を見せる。

「翔さん。翔さんは忘れちゃってるかもしれないけどさ
俺たち正式には付き合ってなかったんだよ?」

「えっ⁉」

翔さんの大きな目が更に大きく見開いた。

「ごめんね?最初に教えてあげれば良かったんだけど…
俺が翔さんのことずっと好きだったのは事実で、翔さんに気持ちも伝えてあった…
でもね?翔さんから正式に返事を貰ってないんだ」

「じゃあ、なんで?」

「あの日、翔さんから初めて抱いて欲しいって言われた…
だから翔さんの事抱いたんだけど、次の日には翔さんの記憶がなくて…
翔さんが俺と付き合ってると思ってたから、そのまま本当の事を教えずに付き合ってると思わせたんだ」
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