• テキストサイズ

あの日の君に 《気象系BL》

第6章 葛藤


「おはよ、あれ?翔くん寝てるの?
また具合悪くなった?」

楽屋に入ってきた潤くんが心配そうに近づいてきて、翔さんの顔を覗き込んだ。

「おはようございます…
具合は悪くないんだけど、ちょっと寝不足っぽかったから休ませた」

「そっか、ならいいんだけど…
ここんところ調子良さそうっていうか
翔くんが記憶なくしてる事感じさせないくらい、リーダーとの関係も前に戻ってきてたじゃん
だから安心してたんだよな」

「そうですね…ほんとに元のふたりに戻ったみたい…」

仕事でも、以前の様に大野さんの言葉足らずのコメントをフォローしたり、発言の少ない大野さんに見事にパスを出す。

それだけだったら良かったのに…

大野さんの横にいる翔さんの笑顔も、あの当時の笑顔に戻ってしまった。

大野さんの隣にいる時だけ見せる、あの穏やかで幸せそうな優しい笑顔…

本人は気がついてないんだろうな…

でも表情って、相当気を付けてないと自然に出ちゃうんだよね。

それこそずっと気を張って演技でもしてないと。

だけどさ、大野さんの側にいるだけで、気が緩んで素の翔さんが出ちゃうんでしょ?

昔から翔さんはそうだった…

いつも張ってる気を、大野さんの前でだけ抜くんだ…
いや、大野さんが抜いてあげてたのか…

やっぱり、どんなことをしても大野さんには勝てないのかなぁ…

さっき膝枕をして頭を撫でた瞬間…
翔さんの顔が一瞬哀しそうに見えたのは、気のせいじゃないよね?

最近、翔さんを抱いていても、どこか違う所に気持ちが行ってしまってるように感じる…

俺に抱かれるのを拒絶するとかではないんだ。

ただ、翔さんが俺を求めてない…
なんだか俺の独り善がりな行為に思えて

終わった後、虚しくなる…
/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp