第1章 後悔
俺の中で翔さんが特別な存在になったのは嵐になって数年たってから。
それまでも良き相談相手で同志だと思っていた。
そんな翔さんの事を気にして見るようになったのは、翔さんのあの人を見る視線が他の人に向けられてるものと違うと気がついたから。
たぶん誰も気がついていない翔さんの切ない眼差し…
そしてある年のライブツアーの時、聞いてしまったふたりの会話。
「今日は来られる?」
「うん、大丈夫そう」
始めはなんのことだかわからなかった。
普段から信頼関係の厚いふたりだけど、仕事以外で会うこともあるんだ…なんてちょっと意外な感じで聞いていた。
わざとじゃなかったんだ。
たまたまJr. の子たちの部屋でゲームをやって、部屋に戻る途中大野さんの部屋の前を通りかかった。
そういえば今、ふたりは一緒にいるのかな?
あのふたりはふたりきりの時、どんな会話をしてるんだろう…
そう興味を持っただけだった。
大野さんの部屋の前に立ち、聞き耳を立てる。
『あっん!』
翔さんの声?
そのままドアの前で中の様子を窺った。
『ああぁっ!さ、とし、くん…』
『ふふっ、すっげぇ、締まる…ライブ後だから興奮してる?』
『そ、な、こと…ない…』
『そっかなぁ…でも体は反応してるよ?ほら…』
『あっ!やぁ、やめ…』
『素直じゃないなぁ…やめていいの?』
『ん、あっ、あぁ、や、だっ!』
『やっと素直になった…いくよっ!』
『あっ、あ、あっん…あぁっ!や、も…イ、クっ…』
『はぁ…ん、俺もそろそろヤバい…』
『あ、ん…あっ、あぁっ…やぁっ!っ、あああぁっっー!さ、とっ…!』
『んぁっ!』
その後、声が途絶えた。
なんだっ!?今の⁈
暫く呆然と立ち竦み、足音が遠くから聞こえ、慌てて自分の部屋に帰った。
部屋に帰ってからも思い出すのは、翔さんの甘い声。
下半身が疼き、思わず自分の手が自分の中心を握った。