第1章 後悔
10年以上続いた俺たちの関係…
独り暮らしを始めてからは会う回数も増えていった。
翔くんが家に来て終わったら帰っていく…遊び感覚の付き合い。
俺に彼女が出来ても翔くんに彼女が出来てもその関係は変わらなかった。
だって翔くんとのエッチの方が気持ちよかったし、翔くんがいつでも相手するって言ってくれてたから。
付き合っていた女性たちは特に好きなわけでもなかった。
断るのが面倒だから付き合っただけで、1,2ヶ月もすれば向こうから別れを切り出してくれる。
別れても何の未練もない。
俺には翔くんがいたから…恋人がいなくても不自由なんてなかった。
そんな俺たちの関係は翔くんの呆気ない一言で終わりを告げた。
「智くん、もう終わりにしよ…」
嵐になって数年たっても変わらず続いていた関係…
いつものように体を重ねた後、突然翔くんが言い出した。
翔くんから始めたことだから、翔くんが終わりにすると言えばそれに従うまで
「うん、わかった」
その時、翔くんがどんな想いでその言葉を言ったかなんて考えもせず
俺はその一言で終わりを認めた
あの時、俺が君に別れの理由を聞いていたら…
それ以前に、どんな想いで俺に抱かれていたのか考えていたら
俺たちはまだ一緒にいられたんだろうか…
人の気持ちを考えることをしてこなかった俺は
自分の本当の気持ちにさえ、すぐに気がつくことが出来なかった…
そして、気がついた時には遅かったんだ。
「翔さん、帰りましょ」
翔くんを呼ぶニノの声が聞こえた。
「あぁ、ごめん、すぐ準備するから」
翔くんが急いで荷物を鞄に詰める。
「ふふっ、慌てなくても大丈夫ですよ」
翔くんを見つめるニノの優しい瞳…
いつからニノはそんな顔で翔くんを見ていたんだろう。
俺は嵐のリーダーなのにメンバーの事をちゃんと見てなかったんだな…
いつも翔くんに任せっぱなしで、なんでも翔くんに頼ってた。
翔くんが側にいてくれることは、当たり前のことじゃないのに…
失ってから気づいた…大切な人。