第5章 認識
「俺、なんで智くんの事忘れちゃったんだろ…」
松潤や相葉くんの話を聞けば聞くほど、悲しくなってくる。
あの人と過ごしてきた日々を思い出したい…
「あのさぁ、リーダーの事を忘れてるって、なんでわかったの?」
智くんの事を忘れてるってわかったのは、ニノがあの時『大野さんは?』って聞いたから…
『大野さん』って言う名前に心当りがなくて『誰?』って聞いたんだ。
でもこの事を松潤に話すと、ニノとの関係がバレるかな…
「翔くん?」
「あぁ…確かニノと、その日の朝、話した時にメンバーの話しになって『大野さん』って名前が出たから『誰それ?』って聞いたんだ…
そしたらニノがメンバーの写真を見せてくれて
写真を見ても智くんの事がわからなかった」
松潤が不思議そうな顔をしていた。
「朝、ニノと会ってたの?」
「あ、うん…ちょっと用があって…」
「そっか…じゃあ、前の日は?その日も5人で仕事だったけど、その事は覚えてるの?」
「仕事をしたのは覚えてる
だけど智くんの姿だけが消えてるんだ…
なんとなく誰かがいたのはわかるんだけど、靄がかかってるって言うか…
はっきりした姿が見えない」
「歌の時とかってどうなの?
フォーメーションとかハモりとかあるでしょ?
その時のリーダーの存在は?」
「今の状態で違和感はない。身体に染み付いた物なんだろうな…
だから、智くんは間違いなく一緒にいたんだ、とは思うんだけど…」
なんで、こんな事になったんだろう…
智くんは何か知ってるような気もするんだけど、話したがらないし…
実はその事も気になってる。