第5章 認識
「なに?なんか気になる?」
「ん~、その智くん探しに行った時に、謝ったら頭撫でられたんだけど
なんかさぁ、懐かしいっていうのかな…
よくされてたような気がしたんだ…」
「思い過ごしじゃないの?
少なくとも俺たちの前ではしてるの見たことないよ?
いい歳した大人が頭なでないでしょ」
「そうは思ったんだけど…」
「それかさぁ、小さい頃にされてたとか?」
「小さい頃?」
「うん、前にリーダーに聞いたんだけど
翔くんって俺たちがJr.に入る前、リーダーの後追って歩いてたって…
リーダーってめんどくさがりやだから、下の子と接しないようにしてたんだけど、翔くんだけは可愛がってたって言ってたよ」
Jr.の頃からそんなに深い付き合いしてたのに、それすらも俺は忘れてしまってるのか…
それなのに智くんは嫌な顔ひとつせず、俺に笑いかけてくれる。
「俺、智くんに謝っても謝りきれないな…」
「翔くん?」
「恩知らずもいいとこだよな…
可愛がってた貰ってたのに忘れるなんて」
俯いてしまった俺の前に松潤がしゃがみこんだ。
「あのさ。今の話だと翔くんが一方的に可愛がられてた感じだけど
リーダーにとっては、翔くんが必要だったんだよ?」
「俺が必要?」
「うん…前に言ったでしょ?
翔くんがいなかったら、リーダー嵐辞めてたなって…
あれ、あながち嘘じゃないよ?
リーダーと飲んだ時に言ってた
ずっと翔くんに支えられてるって、翔くんがいなかったら俺、潰れてたって…
本人は酔っぱらってたから、言ったこと覚えてないかも知れないけどね」
松潤が優しく微笑んでくれた。