第4章 再開
楽屋を出て廊下を歩いていると前から智くんが歩いてきた。
「智くん!」
小走りで駆け寄ると智くんは視線を俺に向け、少し驚いたようだった。
「翔くん、もう大丈夫なの?走ったりして」
「うん、もう大丈夫…
智くんはどこ行ってたの?楽屋に戻らないから皆心配してたよ?」
「ああ、ごめん…
翔くんがこんなに早く戻ると思わなかったから、ディレクターと次回のロケの打ち合わせしてた」
「そうだったんだ…俺こそごめん、俺のせいで色々迷惑かけて…」
本来なら入って無かった打ち合わせを、俺が倒れたせいで急遽予定変更させちゃったんだ…
俯く俺の頭に智くんの手が乗った。
「智くん?」
顔を上げると優しく微笑んでる智くんと目が合った。
「気にしないでいいよ…翔くんが記憶をなくす前は、俺なんてしょっちゅう翔くんに迷惑かけてたんだから」
そう言って頭を撫でてくれた。
その瞬間、俺の心臓がドクンって痛いくらいに鳴ったんだ。
思わず洋服の胸の辺りを握りしめた。
「翔くん?どうした?また具合悪い?」
覗き込むように俺の顔を見る智くん…
なぜか鼓動が早くなるのを感じた。
「ううん、大丈夫…
あ、それよりも、さっき智くんが医務室に運んでくれたんでしょ?
ありがとう、重かったでしょ?」
「うん、重かった」
「やっぱりそうだよね、ごめんね…」
「嘘だよ、翔くんくらい運べるから、いつ倒れて大丈夫だよ」
クスクス笑う智くんを見てまた心臓が跳ねた。
なんで?俺どこかおかしいのかな…